
暑い6月。 梅雨を前にして、ほんの少しずつ、夏の足音が聞こえ始めていますね。
さて今回は、先月(5月27日)夜に行われた 「サントリー美術館オープニング記念イベント」のレポートを、 箏の演奏で参加させて頂きました、澤村祐司よりお届け致します!
この三つ前にアップされている「小室等さんとの再会」という記事には、 このイベントの第1回リハーサルの模様が書かれていますので、 そちらも是非ご覧になってみて下さい☆
今回の会場となったのは、美術館の吹き抜けスペース! 我が国の歴史を築いてきた陶器や襖絵。 その数々に見守られながらのステージとなりました。 私たち演奏者は、会場の中央につり下げられた、 「祝いの紐」と題したオブジェをぐるりと取り囲んで、演奏することになりました。
午後7時半、佐々木詩人と小室さんがはじまりのトーク。 あれ?多喜雄さんと千鶴さんの姿が…!? しかし二人も実は、最初の演目のために、階段の上でしっかりとスタンバイをしていたのです!
トークが終わり、いよいよ演奏! 多喜雄さんの声は、「はじまりの祝詞(のりと)」となって、吹き抜けの会場一杯に響き渡り、 小室さんのギターの音が切り込まれると、あたりの空気はいっぺんに引き締まりました。
私も、心の動いていくままに箏の音を放ちましたが、 音を出している自分でさえも不思議に思えたあの響きの感覚は、今でも忘れられません!! そして最後にまた祝詞が、今度は鼓を伴って再現されると、 会場の中には、何か、時代が遥か昔にタイムスリップしてしまった様な、 そんな空気が作り上げられていたのでした。
「はじまりの祝詞(のりと)」が終わり、 演奏者全員がオブジェの周りに集まり、ふたたびトーク開始!
佐々木幹郎&小室等&伊藤多喜雄、 この3人のトークが演目の合間を縫って、最後まで入ったのですが、 会場からの笑い声が絶えることは、ほとんどありませんでしたねぇ!
そのノリを保ち続けて突入したのが、「樽をころがせ」という歌。 ギター、歌、鼓、そして琴の響きで、いい感じで酒に酔う様子をかもし出せるか、 がこの曲のポイントだったのですが、きっとめでたく楽しげに踊り、 最後は尽き果てることができたのだろう(?)と思いました!
それにしても、小室さんが、「いーやっおっおー」と囃して歌っていらしたあの旋律は、 私も含め多くの愛酒家を魅了した様で、 「これCMに使えるぞー」なんていう声も、ちらほらと聞こえていました!
その後も色々な曲がありました。 穏やかなバラードのメロディーに、千鶴さんと私はコーラスで参加しました、 多喜雄さんの民謡で、再び懐かしさが会場に戻りました。
詩人の朗読でまたうっとり、 私も一曲独奏し……、あっという間に時間が過ぎ……、
最後に演奏した曲は、「タカラ貝 貝尽くしうた」! 詩人の故郷・河内地方で広く親しまれていた 「阿呆陀羅経」の言葉遣いを取り入れて作られた詩で、 ひたすらに「タカラ貝」の名前を「だから」という言葉の糊だけで繋ぎ合わせたことで、 大変めでたいリズムが生まれていました。 それを演奏者全員の歌と楽器で、とにかく楽しく、そして賑やかに飾ったところで、 その日のイベントは、無事に幕を下ろしたのでした。
終わっても、 なんだか「90分間ずっと会場にいたのだ」という感じが全くしないほどに、 とても内容の濃い、緊張できた時間だったのではないかと思っています。
もちろん私の中には「まだまだ出すことのできた自分がいたはず!」 などという心残りはたくさんあります。 けれど何より、今回の舞台で、小室等さんとの再会、 そして伊藤多喜雄さんとの出合いがあったということが、本当に嬉しいです。 三回のリハーサルや本番で、色々と教えて頂いたことに、心から感謝しています。 これからも、あの場所で感じた音の大切さを忘れない様に頑張りたいと思います。
最後になりましたが、日曜の夜であったにも関わらず、 イベントにおこし下さった皆様、本当にありがとうございました!!!
(By Yuji Sawamura)
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